パラレルウォーク。犬の散歩の新しいマナー

散歩中、向こうから他の犬が歩いてくる。 そんなとき、どうすれ違えばいいのか、少し迷うことはありませんか?

「挨拶させたほうがいいのかな」 「吠えてしまわないかな」 と緊張してしまいます。

でも実は、無理に近づいたり、仲良くする必要はないのかもしれません。

ドイツなどでは、 誰とでも遊ぶことよりも、お互いに干渉せず、 「礼儀正しい無視」ができることが、大切にされています。

ただ、犬にとって相手を無視するというのは、 実はとても難しいことでもあります。

もし、犬同士一緒に行動する場合でも、 無理に挨拶をさせたり、遊ばせたりはしません。

適度な距離を保ったまま、同じ方向へただ歩く パラレルウォークが取り入れられています。

向き合うのではなく、同じ方向へ

パラレル(並行)という言葉の意味から、 ぴったりと横に並んで歩く姿を想像されるかもしれません。

けれど、実際のパラレルウォークにおいて、 距離の近さは、重要ではありません。

道路の端と端、あるいはもっと離れた距離であってもOKです。

無理に真横へ並ぶ必要もなく、前後にズレていてもいい。

大切なのは、犬同士の不用意な挨拶や遊びを避けること。 そして、同じ方向に進んでいるという状態です。

互いに干渉しない距離をとって、 ただ、同じ方向へ歩を進める。

かすかにでも存在を感じながら、ただ、共に歩く。 その経験こそが、礼儀正しい無視を成立させるための下地となります。

3つ目の選択肢

なぜ、離れたままでも共に歩くのか。

それは、たとえ距離があったとしても、 一緒に世界を探索するという共同作業になるからです。

敵ではなく、同じ方向へ進むチーム。 そんな感覚を、擬似的に作り出すことができるのです。

そして、もう一つ。

多くの犬は、他の犬に出会うと 「挨拶しなければ(遊ばなければ)」あるいは「追い払わなければ」という、 極端な二択で考えてしまいがちです。

けれど、パラレルウォークを通して、 そのどちらでもない3つ目の選択肢があることを学びます。

それは、他者は風景の一部であり、関心を払わなくても良いということ。

「挨拶しなくていいし、戦わなくてもいい」

その中立を知ることは、 犬にとってとても大切なことではないでしょうか。

終わりに

礼儀正しくても、無視という言葉には、 少し冷たい響きがあるかもしれません。

けれど、それは相手を拒絶することとは違います。 「あなたの存在は分かっているけれど、干渉はしない」 という、一定の距離感を保つ態度のことです。

すれ違っても、緊張が高まらない。 ただ、お互いがそこにいることを許容する。

そんな、穏やかで自立した犬と犬の関係が、 広まっていったらいいなと思います。

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