Hierarchy of Dog Needs 3:私たちが守るべきこと

はじめに

『Hierarchy of Dog Needs』解説シリーズ、最終回となる今回は、図の右側に書かれているメッセージについて解説します。

左側には「具体的な技術(やること)」が書かれていましたが、右側に書かれているのは、このメソッドを支える「哲学(心構え)」です。 動物行動学や心理学の専門家たちによる3つの重要な言葉と、明確に否定されている道具について見ていきましょう。

右側の翻訳・解説

ここには、3名の専門家による言葉と、1つの禁止事項が記されています。

1. Linda Michaels, M.A. Psychology(リンダ・マイケルズ/心理学修士)
「痛み、恐怖、支配的な道具やトレーニング方法を犬に使う正当な理由は、決して存在しません。」

この図の考案者であるリンダ氏の言葉です。 「しつけのためなら仕方がない」という考え方を明確に否定し、いかなる理由があっても、痛みや恐怖を用いることは正当化されないと定義しています。

2. Dr. Marc Bekoff, PhD - Animal Behavior(マーク・ベコフ博士/動物行動学者)
「犬も私たちと同じように、安全で、穏やかで、愛されていると感じる必要があります。彼らはそのニーズを満たすために私たちに依存しており、私たちにはそれを行う義務があります。」

犬は自分で環境を選ぶことができません。飼い主である私たちが提供する環境がすべてです。だからこそ、彼らの心を満たすことは「してあげたら良いこと」ではなく、飼い主としての「義務」であると説いています。

3. Dr. Simon Gadbois, PhD - Animal Behavior(サイモン・ガドボワ博士/動物行動学者)
「犬が学習し、注意を払い、問題を解決するためには、幸せでなければなりません。」

これは精神論ではなく、脳の仕組みの話です。 強いストレスや不安の中では、脳の学習機能はうまく働きません。効率よくトレーニング(学習)をするためにも、まずは犬がハッピーな状態であることが前提条件となります。

禁止されている道具(NO SHOCK, PRONG, CHOKE)

図の右下にある赤い禁止マークは、以下の3つの道具の使用禁止を示しています。

・Shock(電気ショック首輪):電流を流して罰を与える道具

・Prong(プロングカラー):内側にスパイク(突起)がついた首輪

・Choke(チョークチェーン):首が締まる仕組みの鎖

これらは「痛み」や「不快感」によって行動を抑制する道具であり、Hierarchy of Dog Needsの理念とは相容れないものです。

飼い主さんへのヒント:なぜ「幸せ」が大切なのか?

この右側のメッセージをまとめると、「安心して幸せな状態のほうが、犬は賢くなる」ということです。

「しつけ」というと、どうしても「言うことを聞かせる」「厳しくする」というイメージが先行しがちです。 しかし、私たち人間もそうであるように、恐怖を感じて萎縮している時や、イライラしている時には、新しいことを覚えられません。

愛犬は今、安心しているかな? 怖い思いをしていないかな? 「楽しい!」と感じているかな?

遠回りに見えるかもしれませんが、愛犬を「ハッピーな状態」にしてあげることが、実は問題解決への一番の近道なのです。

シリーズのまとめ

全3回にわたり『Hierarchy of Dog Needs』を見てきましてきました。

  1. ピラミッドの階層(中央): まずは体と心のニーズを満たす。

  2. 行動を変える技術(左側): 叱らず、環境設定やご褒美で教える。

  3. 心構えと約束(右側): 痛みを使わず、幸せを土台にする。

出典

Hierarchy of Dog Needs® Linda Michaels, M.A., Psychology Do No Harm Dog Training

※本記事で紹介した図と概念は、リンダ・マイケルズ氏の許諾・ガイドラインに基づき引用・翻訳しています。

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