犬は、結果に正直なだけ。「行動」が増えていく、シンプルな仕組み

しつけが思うようにいかないとき、私たちはつい「性格」のせいにしたくなります。 わがままだから。頑固だから。

けれど、彼らに悪気はないのです。 犬はただ、その行動のあとに起きた「結果」に対して、正直なだけ。

「叱る」か「褒める」か、と悩むその前に。 犬という生き物が学ぶときのシンプルな原則、「正の強化」についてのお話です。

1. 行動の仕組み

「正の強化」という言葉は少し難しく聞こえるかもしれません。 けれど、仕組みはとてもシンプルです。

「ある行動をした直後に、いいことが起きる」。 すると、その行動は繰り返されるようになる。

ただ、それだけのことです。

「オスワリ」をしたら、おやつがもらえた。 「ドア」を押したら、外に出られた。

彼らは常に、自分の行動と、その結果をセットで記憶しています。 そして、「これをしたら、いいことが起きた」という成功パターンを見つけると、その行動のスイッチを積極的に押すようになるのです。

2. いたずらも「学習」の結果

この原則は、良い行動だけに働くわけではありません。 私たちが「困った行動」と呼ぶものも、実は同じ仕組みで強化されていることがあります。

たとえば、吠えたら飼い主さんが振り向いてくれた。 飛びついたら、撫でてもらえた。

人にとっては「叱ったつもり」や「止めたつもり」でも、犬にとってそれが「関心を引けた(=いいこと)」であれば、その行動は強化されます。

彼らは意地悪をしているわけではありません。 ただ純粋に、「こうすればメリットがある」と学習しているだけなのです。

3. 「成功」を作る

この原則がわかると、しつけのアプローチが少し変わります。 「失敗したときに叱る」のではなく、「成功するように準備する」という発想です。

たとえば、靴を噛まれたくないなら、靴を片付けておく。 その上で、噛んでもいいおもちゃを渡し、遊んでいるときに「イイネ」と褒める。

叱る必要をなくし、褒めるチャンスを自分で作る。 彼らが正解を選びやすい環境を、整えてあげるのです。

この原則を知っていると、不思議と気持ちが楽になります。

うまくいかないときも、それを「性格」のせいではなく、「仕組み」の問題として捉えられるようになるから。

「なんで?」と感情的になる前に、一歩引いて観察してみる。 そうすれば、あきらめかけていた犬のしつけに、希望が見えてきます。

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