しつけのゴールは「完璧」じゃなくていい。愛犬と「どこへでも行ける自由」を叶えるために

静かなリビングなら、オスワリもマテもできる。 それなのに、一歩外に出ると、まるで初めて聞いた言葉のように反応しなくなってしまう。

そんな姿を見て、途方に暮れてしまう飼い主さんもいるかもしれません。

ですが、それは「わがまま」だからでも、「反抗」しているのでもありません。 犬という生き物にとって、「場所が変わる」というのは、僕たちが思う以上に大きな出来事なのです。

なぜ、彼らは外でできなくなってしまうのか。 その理由を、少しだけ彼らの目線で考えてみます。

家と外は、別の世界

僕たち人間は、「座る」と言われたら、リビングでも公園でも同じ動作ができます。 場所が変わっても、言葉の意味は変わらないと知っているからです。

けれど、犬たちの感覚はもっと繊細です。

彼らは「オスワリ」という言葉を、音だけで記憶しているわけではありません。 「リビングの景色」「床の感触」「いつもの空間」、そのすべてをセットにして覚えています。

対して、外の公園は「草のにおいがして、風が吹いて、鳥の声がする場所」。 彼らにとってそこは、家とはまったく違う、新しい世界です。

背景がこれだけ変わってしまうと、同じ「オスワリ」という言葉でも、犬にはまるで違う指示のように聞こえてしまうのかもしれません。

外でできないのは、わがままだからではなく、「この場所での正解」をまだ知らないだけなのです。

「どこへでも行ける」という自由

そう考えると、トレーニングの目的も少し変わって見えてきます。

私たちが愛犬に「マテ」や「オイデ」を教えるのは、決して彼らを管理したり、言うことを聞かせて満足するためだけではありません。

家以外の場所でも、飼い主さんの声が届くようになること。 それは、愛犬と「どこへでも一緒に行ける自由」を手に入れることに繋がります。

カフェで足元に伏せていられたら、休日のカフェを一緒に楽しめる。 呼び戻しができれば、広い野原で思い切り走らせてあげられる。

「家だけ」から「外でも」へ。 できる場所がひとつ増えるたびに、二人の行動範囲は広がり、一緒に見られる景色が増えていきます。

しつけのゴールは、完璧な芸を覚えることではなく、こんな「自由」を二人で叶えることではないでしょうか。

世界を少しずつ広げていく

焦る必要はありません。 家の中と外の「別世界」を少しずつ繋いであげましょう。

いきなり賑やかな公園でできなくても大丈夫。 まずは玄関先で。次は静かな路地で。

そうやって、落ち着いて「できる」場所をひとつずつ増やしていく。 その過程も、愛犬とのかけがえのない時間です。

焦らず、ゆっくりで大丈夫。 二人のペースで、少しずつ世界を広げていってください。

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